第1回 appbank Network主催 勉強会に参加してきました その2

パズル&ドラゴンズ プロデューサー 山本大介氏

本当に楽しそうな環境で開発をしている、開発が好きなんだな、という印象。
みんながツーカーで開発できるってのはやっぱり重要ですよね。


数値のことや、お金のことを開発段階からずっと考えて作っていて
ユーザーに取って面白いものが出来るとは思えない。
開発してるときの気分ってのは、成果物に表れますからね。


前座 : appbank宮下さん
どうしてAppBankはパズドラの記事ばかりかいているの?
お金貰ってるの? という質問がくることがある。
実際には、[PR]と付いている記事だけはお金を貰っているが、
それもたくさんの記事を上げる中でこちらからお願いしたような形。


なぜパズドラに関する記事を書くか、というと次のような理由がある。
・「全力で流行らせるべきだ」と考えている

あまりにもゲーム会社、Web制作会社が同じようなアプリばかりを出していた。
(スタミナを消費して行動する、カードを集める、戦う……)
全部の会社がそんなものを作られては、たまったものではない。
業界自体が無くなってしまうのではないか、という危機感を覚えていた。

そんなときに出て来たパズドラは、これからのお手本のようなゲームだった。
スマートフォンにおけるモンハンのような地位に行けるまで、
ずっと記事を書き続けたいと思っている。


・読者がよろこぶから

他の記事の3〜20倍のPVがある。パズドラからの流入じゃないか、という
意見もあるがTwitterからのリンクでも押される率が高い。
コンテンツとして喜ばれているから、やっている面もある。

本題
ソーシャルゲームに負けないスマホのゲームづくり


パズル&ドラゴンズは「ソーシャルゲームではない」


いつものように一生懸命楽しいゲームをつくったので、
具体的な開発プロセスなどは無かったのだが
「こう言う風にゲームを開発したのが良かったのかな?」という
「10個の開発方針」を「犬と私と10の約束風」に。


1. 企画段階でKPIなんて考えないでください

「自分たちが面白い」「こんなゲームを作りたい」その思いだけでプロジェクトが立ち上がった。
そのことが、今でも「楽しく継続開発できる」原動力だと思う


2. プロトタイプでは私の面白さだけを見て

メインゲーム(パズル)の面白さだけを追求して
プロトタイプ版を開発した。(2ヶ月間)
ガンホーでは、プロトタイプが面白くないと、先に進むことは出来ない。


3. 私(ゲーム)の売り方だけは先に考えておいてください。

「ゲーム内で何を売りたいか?」は考えてきます。
それ以上の細かいことは考えず、レベルデザインやチューニングの中で詰めて行く。


4. 遊んでくれないのには理由があります

プレイする前に離脱されないように以下の項目を心がけた
 1. ユーザーネームの登録は重複可能にする
 2. メールアドレスなどの個人情報は絶対登録させない
 3. 広告の効果測定の為に無駄なWEBページにリンクしたり、怪しいパーミッションを極力させない


5. 有料販売クオリティで私を開発してください

パズドラは170円で発売する想定で開発を行いました。
AppStoreにおいて170円は決して安くない。
この価格で提供する覚悟で最後まで作りきったことが、
現在のアプリケーションのクオリティとして好影響を及ぼした。
 (有料で売ると言い切って、無料セールで出す)


6. ソーシャルゲームを否定しないでください

最近悪い印象が多いソーシャルゲームですが、良いところもある。
パズドラでは、自分自身が体験して良いと思ったソーシャル要素だけをピンポイントで取り入れている。
まだちゃんと遊んだことが無い方は是非一度遊んでみてください。


7. 一番遊ばせたいところはサーバで管理してください。

通信回数が少ないことから、アプリ側で管理している項目が多いと思われがちなパズドラですが、
大切なところは全てサーバで管理しています。
ゲームの要となるダンジョン生成アルゴリズムをサーバで持っているため、
自由に追加や調整が可能。(CSVでダンジョン生成)
※実際、リリース当初に通信タイミングを見て大切なところだけ上手く通信してるなと思った


8. 私が出来ることには限界があることを忘れないで

過度なチュートリアルや情報発信などをアプリ内に盛り込みすぎると悪影響を及ぼす。
攻略記事や、公式ツィッターなどへリンクを設置し、
ユーザーが必要なときに信頼できる情報を見れるようにする
 → 継続率の向上につながった


9. あなたには家族や友達がいます。

社内の意見取りに加えて開発スタッフそれぞれの嫁に頻繁に意見を聞いた。
通称、「嫁レビュー」
カジュアルユーザーの多いスマホで成功できた一番のポイントが、嫁レビューだったかも。


10. お願いです。どうか私をパクらないでください

僕はゲームを作るのが大好きです。10年後も20年後も、できたら生涯ゲームを作る仕事がしたい。

模倣が続くとユーザーが離れ、数年後にはゲームが作れなくなるかもしれない。
ちょっとだけ自分の将来を考えてから、ゲームの企画を考えて頂けると嬉しい。

一時期ドラコレのパクりが多過ぎてゲーム市場が無くなると思った。


2012年5月1日
パズドラスタジオ設立!」
世界一を目指し、一緒にパズドラを作ってくれるメンバを募集している
http://www.gungho.jp/pad/recruit/


QA
ソーシャルゲームで実際に、面白かった要素は?

モバゲーの「伝説の守り人」。対戦の要素を排除して、他のプレイヤーと協力して敵と戦う要素。


日々の運営で、特に気をつけている点や良かった点、困った点。

アップデート計画をひと月以上先まで引かない。
常に半分くらいには抑えて、ユーザーからの意見を取り入れて、
なるべくユーザーが求めているところを反映する。


ガンホーのサーバー周り、これがあったから出来たというのは

凄いなと思ったのは、運営。
オンラインゲームの運営をサービスと捉えている。ユーザーをどうやって楽しませるか。
指揮系統がしっかりしているので、サーバートラブルがあっても冷静に対応できる。


今後はグローバル展開を行って行くとの話だが、
日本と外国は好みが違うと思うが、どうやって国の違いを解消していくか

あまり深いことは考えていない。
日本のものが絶対に通じないのであれば、
「なんでポケモンが売れたんだ」という話。
まず出してみて、ダメだったら考える。
受けなかったら、自分の得意なジャンルでまた挑戦したい。


今までの開発の人数と、海外向けには何人募集する予定か

社内のエンジニア2〜3人
ハドソン時代から付き合いのある開発会社。
サーバーの会社。3社合同で作った。

クライアントはほぼ1人、デザイン1人、プランナー1人。
サーバーエンジニアは4人体制くらい。
コアスタッフは30人くらいで絵や曲などはフリーな人たち。

海外展開、キャラクター展開とやっていきたい。
スマホでやる以外にも色んなメンバーを集めて行きたい。


楽しくゲームを作る秘訣とかがあれば

アイデアが降って来た瞬間。それをそのままプログラマ、デザイナに伝えて
共感した中で作れるのが最高に楽しい環境。
みんながツーカーでやれるといい。少人数で作る方が好き。
10人未満で作るのが好き。